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製造工程における対策

ウイルスプロセスバリデーション

ウイルス除去 / 不活化処理工程が実際どのくらいのウイルス除去・不活化能力を持っているかを検証するために、ウイルスプロセスバリデーションを実施しています。

ウイルスプロセスバリデーションとは、実験室において、実際の製造条件を模倣した工程に、意図的にウイルスを添加し、その工程前後でのウイルス減少率、すなわちウイルスがその工程でどれくらい減少したかを確認する試験です。
日本血液製剤機構では日本ならびに欧州連合のガイドラインに準拠して本バリデーションを実施しています。また実施にあたっては、結果の客観性を持たせるためにGLP適合の英国第三者機関において実施しています。

また、ワーストケースを想定して実施しています。
液状加熱処理工程は60℃で加熱するとしていますが、製造販売承認書では例えば60±0.5℃と既定されています。 この場合、ワーストケース、すなわちウイルスにとってより生き残り易い条件である59.5℃で実施することにより厳しく評価するようにしています。
そして本試験は製造工程の変更や、試験方法にかかわる技術の進歩に伴い、随時再評価しなければなりません。

ウイルスプロセスバリデーション
  • 実験室において、実製造を模倣した工程に意図的にウイルスを添加し、工程前後でのウイルス減少率を確認する試験
  • 日本ならびに欧州連合(EU)のガイドラインに準拠
  • GLP適合の英国第三者機関にて実施
  • 実製造のワーストケースを想定して実施
  • 製造工程の変更や、試験方法に係わる技術の進歩に伴い、随時再評価する
エタノール分画を例にウイルスプロセスバリデーションの概略

工程サンプルは実製造現場、すなわち工場からサンプリングしてきます。ここにウイルス溶液を添加し、サンプル中のウイルス力価を測定します(測定1)。
その後評価する工程を実施し、工程後のウイルス力価、エタノール分画の場合は上清画分と沈殿画分のウイルス力価を測定します。そしてウイルス除去・不活化効果の評価としてクリアランス指数を算出します。

クリアランス指数の算出は、工程前のウイルス力価と工程後次工程に進む方の画分のウイルス力価の比で求めます。例えばこの図であれば、測定1のウイルス力価106TCID50と上清画分のウイルス力価(測定2)102TCID50の比、すなわち104(4Log)となり、本工程でウイルス力価が104分の1に減少したことを示しています。

血漿分画製剤のウイルス安全対策について、平成15年(2003年)11月に厚生労働省より血液製剤協会理事長宛に通知が出されました。
ここに血漿分画製剤に関連する箇所の抜粋をお示しいたします。

血漿分画製剤のウイルス安全対策について(抜粋)

薬食審査発第1107001号、薬食安発第1107001号
薬食監発第1107001号、薬食血発第1107001号

(社)日本血液製剤協会理事長あて通知

厚生労働省医薬食品局審査管理課長
安全対策課長
監視指導・麻薬対策課長
血液対策課長

2.副作用等の報告(薬事法(昭和35年法律第145号)第77条の4の2第1項及び第2項に規定する副作用等の報告をいう。以下同じ。)等からの遡及調査に伴い、製剤(ロット)の製造後に個別にNATを実施することにより、陽性となった血液の原血漿への混入が判明した場合は、混入したウイルスの種類及び量(理論的な上限値を含む。)が特定され、かつ、製造工程において当該ウイルスが十分に除去・不活化されることが確認されれば、個別の分離血漿の段階にある原血漿を除き、当該製剤(ロット)を回収する必要はないものとすること。また、これらの特定及び確認は、厚生労働省医薬食品局血液対策課が、血液事業部会安全技術調査会の意見を聴いて行うものとすること。

なお、この場合において、混入したウイルスの量が、日本赤十字社が現に実施している50プールのNATにより陰性が確認されるレベルであって、当該ウイルスに係るウイルスクリアランス指数(ウイルス力価の減少度を対数(log10値)で表したものをいう。以下同じ。)が9以上である製剤(ロット)については、当該ウイルスが十分に除去・不活化されていると平成15年度第3回血液事業部会において判断されたので、当面は、個別の分離血漿の段階にある原血漿を除き、当該製剤(ロット)を回収する必要はないものとすること。

(URL:http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/5a-1.html)

この中で、原血漿(プール血漿)へ混入したウイルスの量が50プールNATで陰性が確認されるレベルであり、当該ウイルス(HIV、HBVおよびHCV)についてのウイルスクリアランス指数が9 Logs以上あれば、十分に当該ウイルスは除去・不活化されていると判断されるので当該ロットは回収する必要はないものとされました。
なお、個別NAT(プールした血漿サンプルではなくドナー個々のサンプルについて行うNAT)で該当ウイルス陽性結果が出た場合で、その個別バックが製造工程に投入されていない場合については隔離・廃棄します。

日本血液製剤機構の全製剤について

HIV、HBVおよびHCVに関するウイルスクリアランス指数(ウイルス力価の減少度を対数(log10値)で表したもの)が9以上であることを確認しています。(日本ならびに欧州連合(EU)のガイドラインに準拠し、GLP適合の英国第三者機関にて実施)