<参考情報>
5%製剤:5mL/分以下
20%、25%製剤:1mL/分以下
投与速度は、負荷するアルブミンを1 時間あたりに10g 前後に制限して、循環系に過剰な負担をかけないようにしてください。
細菌繁殖の可能性があるので長時間かけての投与はお勧めできません。
(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり、しかも保存剤が含有されていないため)
目標とするアルブミン濃度(期待値)は「血液製剤の使用指針」において、参考ではあるが、急性の病態では3.0g/dL以上、慢性の病態では2.5g/dL以上を用いると良いとされています。
下記の計算式で求められたアルブミン量を患者の病態に応じて、通常2~3日で分割投与します。
<必要投与量の計算式>
・期待上昇濃度(g/dL)=目標の血清アルブミン濃度 - 現在の血清アルブミン濃度
・循環血漿量(dL)=0.4dL/kg(体重1kg あたりの循環血漿量*)×体重(kg)
*体重1kg あたりの循環血液量を70mL/kg,Ht 値43%と仮定
・投与したアルブミンの血管内回収率:40%
とすると,
必要投与量(g)
=期待上昇濃度(g/dL)×循環血漿量(dL)×100/40
=期待上昇濃度(g/dL)× 0.4dL/kg × 体重(kg)×2.5
=期待上昇濃度(g/dL)×体重(kg)
(「血液製剤の使用指針」厚生労働省医薬・生活衛生局 平成31年3月 より引用)
● 算定式に基づく投与量の確認は、「アルブミン投与量シミュレーター」サイトをご利用ください。
● 算定された投与量を投与しても、病態等により期待値に至らない場合があります。
あくまでも参考値として、病態に最適な投与量のご判断をお願いいたします。
● 保険審査基準は都道府県により異なる場合がありますので、詳細は審査支払機関にお問合せ下さい。
<高張(20% 及び25%)アルブミン製剤について>
血漿の膠質浸透圧の約4~5倍の製剤で、膠質浸透圧の改善のために使用されます。
■使用例
下記の症例が対象となり得ますが、詳細につきましては、アルブミン製剤の適正使用1)をご参照ください。
● 肝硬変に伴う難治性腹水に対する治療
● 難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群
● 凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法(希釈使用)
● 低タンパク血症に起因する肺水腫あるいは著明な浮腫が認められる場合
<等張(5%)アルブミン製剤について>
血漿の膠質浸透圧と等張の製剤で、循環血漿量の補充のために使用されます。
■使用例
下記の症例が対象となり得ますが、詳細につきましては、アルブミン製剤の適正使用1)をご参照ください。
● 出血性ショック
● 敗血症
● 人工心肺を使用する心臓手術
● 循環動態が不安定な体外循環実施時
● 凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法
● 重症熱傷
● 循環血漿量の著明な減少を伴う急性膵炎など
● 妊娠高血圧症候群
● 他の血漿増量剤が適応とならない病態
局所障害性のある成分ではありませんので、一般の輸液等が漏出した場合の対処と同じです。
<参考>1),2)
薬剤(一般の輸液など)が漏出した場合は、腫脹などの軽減に冷罨法(れいあんぽう)が効果的と言われています。20℃前後の冷罨法を漏出直後に行うことで炎症反応が軽減します。3時間程度は継続して冷やした方が効果的ですが、30分間でも効果が見られたといわれています。
1) 武田 利明,Expert Nurse 2012 ; 28:66-69
2) 三浦 奈都子,Expert Nurse 2012 ; 28:70-77
輸液フィルター(0.2μm)の使用は避けていただくことが望ましいと考えます。
弊機構におけるフィルター通過性試験で排出時間が延長したことから、フィルターの材質等によっては目詰まりを生じる可能性が否定できないためです。
アルブミン製剤は、生理食塩液に比較して薬液の密度が高く、表面張力が小さいことから滴容量が若干小さくなると考えられます。そのため、標準滴容量の輸液と時間当たりの滴下数を同じにしても実際の投与量は少なくなり、予定時間に点滴が終了しないという現象がおこる可能性がありますのでご留意ください。
5%ブドウ糖液、生理食塩液等の中性に近い輸液・補液以外の他剤との混合注射を避けることとされています。
明確な投与のタイミングはないようですが、透析開始15~30分程度経過し、支障なく透析治療が行える状態を確認したタイミングでアルブミン製剤を使用するとの報告があります。
<参考>
透析開始後、早期に透析膜の内表面へのたん白付着が起こるため、透析開始15~30分程度経過し、支障なく透析治療が行える状態を確認したタイミングでアルブミン製剤を使用することにより、投与したアルブミンの喪失をある程度抑えることが期待できる。
ろ過膜表面のたん白濃度分極は大きなろ過抵抗となることが推測されるため、投与はダイアライザーの後方(返血側)より行う。
(山本 保博監修)アルブミン臨床マニュアル 139-144,2003(メディカルレビュー社)
JB取り扱いのアルブミン製剤につきましては、採血国は日本で、採血方法は献血となります。
以下の2規格のディスポーザブルエアー針があります。
ディスポーザブルエアー針のご用命は、弊機構担当者もしくはくすり相談室にお申し付けください。
ガラス瓶入りの製剤であるため、エアー針は必要です。
同意書の取得は義務ではありませんが、取得いただくことが望ましいと考えます。
医薬品医療機器等法では患者に説明して理解を得ることが求められていますが、血漿分画製剤の同意書の取得は輸血用血液製剤のように診療報酬算定上の要件となっていません。しかしながら、万が一に備えて同意書を取得いただくことが望ましいと考えます。
医薬品医療機器等法 (特定生物由来製品取扱医療関係者による特定生物由来製品に係る説明)
第六十八条の二十一
特定生物由来製品を取り扱う医師その他の医療関係者(以下「特定生物由来製品取扱医療関係者」という。)は、特定生物由来製品の有効性及び安全性その他特定生物由来製品の適正な使用のために必要な事項について、当該特定生物由来製品の使用の対象者に対し適切な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。
『 「くすりの話Q&A」 献血アルブミン製剤の投与を受けられる方へ 』という資材 がございます。
「お役立ち情報・患者指導箋など」のサイトをご参照ください。
使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないでください。
(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり、しかも保存剤が含有されていないため)
【参考:廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル 令和5年5月】
「血液製剤については、それ自体には感染性がないことから感染性廃棄物ではないが、外見上血液と見分けがつかない輸血用血液製剤(全血製剤、血液成分製剤)等は血液等に該当するものとする。」とされています。
一般的に静脈内注射で使用されている20~23Gの注射針をご使用ください。
24Gでも投与は可能です。
輸液で一般的に使用されている輸液セットをご使用ください。材質の指定はありません。
輸液ポンプやシリンジポンプを使って投与することは可能です。
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予めご了承ください。
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