• スポーツ -sports-

Training 08スポーツ -sports-

今回はスポーツに関してのお話です。スポーツとは「運動競技」の総称で、ルールに則って行われる、遊戯・競争・肉体鍛錬の要素を含む身体的・頭脳的な能力と技術を使った行為です。競争を中心とする近代スポーツ、楽しさを中心とするニュー・スポーツ、民族的なアイデンティティや儀礼を中心とする民族スポーツ、癒しや瞑想を中心とする瞑想系身体技法、健康を志向する体操・ダンス、自然との接点を求める野外スポーツなど様々なスポーツがあります。70年代まで、血友病ではスポーツはあまり推奨されていなかったと聞いています。しかし、現在では定期補充療法が浸透し、スポーツが推奨されるようになりました。スポーツを行うメリットは多く、筋肉を使うことで筋肉や骨が発達し、関節を支える力がアップして、関節内出血や筋肉内出血が起こりにくくなります。成長期では発育が促されます。均整のとれた、引き締まった逞しい身体になります。皮膚や皮下組織が丈夫になり、多少ぶつかったくらいの衝撃では出血しなくなります。バランス反応速度が向上し、石に躓くなど不測の事態で転びそうになっても、姿勢を立て直して転ばなくて済んだり、転んでも軽い怪我で済んだりします。身体を動かすことがストレスの解消になり、他人と同じ時間を共有し交流することで、心理的にも社会的にも良い効果が得られます。このようにスポーツのメリットはたくさん挙げられますが、スポーツ種目によっては、出血の危険性が高いものや関節症が悪化してしまうものもあります。同じスポーツ種目でも練度や強度などの条件の違いで出血のリスクは変わりますので、注意が必要です。

出血危険度分類

  • レベル1安全

    水泳、ウォーキング、ハイキング、ゴルフ、太極拳、アーチェリー、シュノーケリング、フィッシング、フリスビー

  • レベル1.5安全~軽度

    自転車、ピラティス、フリスビーゴルフ、ウエイトマシントレーニング、サーキットトレーニング

  • レベル2中等度

    テニス、ジョギング、ボウリング、屋内ボルダリング、エアロビクス、ヨガ、ダンス、ボクササイズ、縄跳び、ローラースケート、スキー(クロスカントリー)

  • レベル2.5中等度~高度

    野球、ソフトボール、サッカー、バスケットボール、バレーボール、陸上競技各種、器械体操、空手、柔道、アイススケート、インラインスケート、キックボード、スケートボード、スノーボード、スキー(ダウンヒル)、スキューバダイビング、サーフィン、カヌー・カヤック天然川下り

  • レベル3高度

    ボクシング、レスリング、ラグビー、アメリカンフットボール、ホッケー、ラクロス、野外ロッククライミング、スノーモービル、トランポリン

National Hemophilia Foundation「Playing It Safe」より抜粋

出血の危険度比較

  • 練度初心者 > ベテラン

    初心者はベテランに比べて出血の危険度が高い

  • 強度競技 > レクリエーション

    試合形式で白熱すると急激に危険度が上がる

  • 接触プレーあり > なし

    特に全身タックルが危険

  • スピード速い > 遅い

    特に急激なターンをするときの急制動時が危険

  • 他人と競争あり > なし

    競争意識で限界以上の力を出そうとして怪我につながる

  • 場所野外 > 屋内

    天候や地面の状態が悪いと危険度が大きく上がる

重度の血友病性関節症を患っている患者さんは、スポーツをする機会が減り、筋力、無酸素運動能力、有酸素運動能力、運動感覚器官などの機能が低下している人が多いといわれています。しかし、これらの機能低下は出血エピソードの頻度に関連しており、関節症早期からの機能回復トレーニングの必要性が提唱されています。「スポーツ開始時期に不安がある」「何の種目を選択すれば良いのかわからない」という場合は主治医に相談しましょう。安心・安全にスポーツライフをエンジョイしましょう。