免疫グロブリン製剤は、健康な人の血液から免疫グロブリン(抗体)を抽出・精製して作られています。30年以上前から重症感染症に使用され、以後、川崎病、血小板が減少する病気、生まれつき免疫グロブリンが少ない患者さんなどに用いられています。また、ギラン・バレー症候群、皮膚筋炎・多発性筋炎や慢性炎症性脱髄性多発根神経炎などの患者さんにも使われています。
免疫グロブリン療法について
免疫グロブリン療法が、なぜ重症筋無力症に効くのか?
重症筋無力症という病気は免疫の仕組みが異常になっていますが、免疫グロブリン製剤はこの異常な免疫の仕組みを以下のような働きによって正常な状態に導いてくれると考えられています。
免疫グロブリン製剤の働き
- 補体が自己抗体に結合するのを抑え、アセチルコリン受容体のある膜が破壊されるのを阻止します。
- 自己抗体の働きを抑えたり、自己抗体を作らせないようにします。
- 異常な免疫を引き起こしている物質(サイトカイン)の働きを抑えます。
用語解説
免疫
- 私たちの体に備わる、外部から侵入してきた細菌やウイルス等の異物や体の中にできた悪いもの(がん細胞など)を排除し自身を守るシステムです。免疫には細胞性免疫と液性免疫があり、免疫グロブリン製剤に含まれる免疫グロブリン(抗体)は液性免疫の主役です。
抗体
- 自分と違った異物が体の中に入り込んだとき、その異物に反応し体から追い出すため(排除するため)に免疫システムが作りだすたんぱく質です。
自己抗体
- 抗体のうち、自身の体内に存在する抗原に対して反応性を示してしまうものです。
補体
- 血液中に存在し、抗体と一緒になって免疫反応を補助するたんぱく質です。
免疫グロブリンについてのより詳しい情報は、一般社団法人日本血液製剤協会のホームページ(http://www.ketsukyo.or.jp/plasma/globulin/glo_01.html)をご参照ください。
免疫グロブリン製剤とは
免疫グロブリン製剤の副作用
免疫グロブリン製剤で次のような副作用がおこることがあります。副作用が認められた場合、免疫グロブリン製剤を中止し適切な処置を行います。
重大な副作用
0.1~5%未満
- ショック症状
- 肝機能障害
- 無菌性髄膜炎
頻度不明
- 黄疸
- 急性腎障害
- 血小板減少
- 肺水腫
- 血栓塞栓症
- 心不全
その他の副作用
- 肝機能検査値異常*1
- 頭痛
- 悪寒
- 発熱
- ふるえ
- チアノーゼ*2
- など
*1 臨床試験では肝機能にかかわる臨床検査値の異常が多かったので、体調に何らかの変化(倦怠感など)がみられた場合には主治医に相談してください。
*2 皮膚や粘膜が青紫色になる状態