免疫グロブリン製剤ってどんな薬? -5つの質問-
どんな薬?
- 血液(血漿)の中にある免疫グロブリン、あるいは抗体(参照)と呼ばれるタンパク質をお薬にしたものです。
- 日本国内の健康な人の協力による献血血液から作られています。
- 感染に対する“有益な免疫”として働くいろいろな種類の抗体が入っており、感染症の治療薬として40年以上前から使われています。
- 最近では、たくさんの量を点滴すると、免疫を調節する働きがあることがわかり、免疫が関わるさまざまな病気の治療薬としても広く使われています。
- 天疱瘡や水疱性類天疱瘡の治療薬の中で、正常な免疫を抑えないお薬と考えられています。
「抗体」と「自己抗体」は違うのですか?
抗体は、細菌やウイルスなどの敵と戦い、からだを守る”有益な免疫”です。
一方、自己抗体は、抗体の一種ですが、何らかの原因でからだの中にでき、自分自身のからだ(自己)を敵と間違えて傷つけてしまう”有害な免疫”です。
安全性は?
- 血液を原料としたお薬であることから、ウイルス感染などの可能性はゼロではありません。
- お薬を製造する過程で、ウイルスを不活化したり、ウイルスを取り除いたりするための処理を行っています。
- 献血ヴェノグロブリン®IHは、発売から現在までにこのお薬が原因と断定されたウイルス感染は確認されていません(2024年8月現在)。
免疫グロブリン製剤の安全対策※献血ヴェノグロブリン®IHの場合
なぜ効くの?
- はっきりとはわかっていません。
- ただし、これまでの研究により、このお薬が持つ免疫を調節するさまざまな作用が協力して働いていると考えられています。
どのようなときに使うの?
- ステロイドの飲み薬で病気を抑えきれない場合に使われることがあります(例①~③)。
- 1病気の勢いが強く、すぐに抑えたいとき
- 2ステロイドをなかなか減らせないとき(減らすと症状が出るとき)、症状がくすぶっているとき
- 3症状が再発・再燃したとき など
- 他の治療薬の副作用や高齢などの理由によりステロイドの飲み薬を十分に使えない場合、感染(の心配)がある場合などにも使われることがあります。
- 免疫グロブリン製剤をもう一度点滴する場合は、4週間以上の間隔を空けることになっています。
治療のイメージ図
注意すべき副作用とその症状は?
注意すべき副作用
ショック アナフィラキシー 肝臓の障害 無菌性髄膜炎 腎臓の障害 血小板減少 肺水腫 血栓塞栓症 心不全
- まれに以下のような症状があらわれ、注意すべき副作用の初期症状である場合があります。
- 点滴中や点滴後に何か異常を感じたら、すぐに主治医や薬剤師、看護師にお知らせください。
全身
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発熱
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からだのむくみ
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からだがだるい
皮膚
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発疹やかゆみ
頭部
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めまい
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頭痛
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意識障害
胸部・腹部
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体動時の動悸
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呼吸困難、頻脈
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吐き気・おう吐
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胸の痛み
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食欲不振
手足
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手足の麻痺
その他
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出血しやすい
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尿量が減る
以上の症状はすべてを記載したものではありません。
この他にも気になる症状があれば、主治医や薬剤師、看護師に相談してください。
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免疫グロブリン療法を受ける患者さんとご家族へ
天疱瘡・類天疱瘡 読本(PDF)
免疫グロブリン製剤は、天疱瘡と類天疱瘡(水疱性類天疱瘡のみ)
[いずれもステロイド剤の効果不十分な場合]の承認を取得しています。(2024年8月現在)