どんな治療?
治療方法は?
病気の原因である自己抗体の産生や働きを抑える治療を行います。
治療の中心はステロイドの飲み薬です。症状や治療効果、年齢や他の病気を考慮しながら、ステロイドの注射、免疫抑制剤、免疫グロブリン療法、血漿交換療法などを組み合わせて治療を進めます。
治療のイメージ図
「寛解」とは何ですか?
病気が完全に治った「治癒」ではありませんが、病気による症状が安定し、病気の症状がみられない状態のことです。治療なしで、あるいは少ない量のステロイドの飲み薬などでこの状態を維持することを目指します。
主な治療の紹介
ステロイドの飲み薬を柱として、適宜他の治療を組み合わせます。
ステロイド
自己抗体を抑えるお薬
- 治療の中心です。免疫機能や炎症を抑えるお薬です。
- 飲み薬が中心ですが、注射のお薬が使われることもあります(ステロイドパルス療法)。
- 症状が落ち着いたら少しずつ丁寧に減らしていきます。
- 副作用として、感染症、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、消化性潰瘍、高血圧などに注意が必要です。
- 自己判断で量を変えたり飲むのを止めたりせず、決められた通りに飲むことが大切です。
免疫抑制剤
自己抗体を抑えるお薬
- 免疫機能を抑えるお薬です。
- 一般的には飲み薬が使われますが、注射のお薬もあります。
- ステロイドだけで病気を抑えきれない場合や、ステロイドの減量を助ける目的で使われます。
- 副作用として、感染症、肝障害、腎障害、消化器症状、骨髄抑制、催奇形性、二次性悪性腫瘍などに注意が必要です。
血漿交換療法
自己抗体を取り除く治療法
- 特殊な装置を使って、血液を血漿と血球にわけ、自己抗体が含まれる血漿を取り出し、代わりの血漿に置き換える治療です。
- 一般的に、1回あたり数時間の治療を週に2回程度行います。
- 他の治療で病気を抑えきれない場合などに行います。
- 副作用として、感染症、血圧低下、出血傾向、アレルギー、電解質異常などに注意が必要です。
- 高齢者やからだの状態が良くない場合は、実施できないことがあります。
- 血液を原料とした血漿(製剤)に置き換えるため、ウイルス感染などの可能性はゼロではありません。
免疫グロブリン療法(IVIG療法)*
免疫(自己抗体)を調節するお薬
- 免疫グロブリン製剤(IVIG製剤)という注射のお薬を5日間連続で点滴します。
- ステロイドだけで病気を抑えきれない場合に使われます。
※免疫グロブリン製剤は、天疱瘡と類天疱瘡(水疱性類天疱瘡のみ)[いずれもステロイド剤の効果不十分な場合]の承認を取得しています。(2024年8月現在)
分子標的治療薬
体内の特定の細胞や分子に作用するお薬
- 分子標的治療薬は、特定の細胞や分子をターゲットとして効率よく作用するお薬です。
- ステロイドなどの他の治療で病気を抑えきれない場合などに使われます。
- 投与数時間以内に起こる副作用に注意が必要となる場合があります。
- 免疫にかかわる細胞や分子をターゲットとする場合、感染症にも注意が必要です。
- 難治性の尋常性天疱瘡および落葉状天疱瘡の治療として、抗CD20抗体療法が承認されています。(2024年8月現在)
副作用や注意点など詳細については、「免疫グロブリン製剤ってどんな薬? -5つの質問-」をご参照ください。
免疫グロブリン製剤ってどんな薬?-5つの質問-