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16.障害年金について

Q

将来に備えて障害年金について知りたいと思います。自分が該当するかどうかの目安や手続きなどについて、教えてください。

A

将来に対しての備えを考えておくことは誰にとっても大切なことですし、まして持病を抱えた場合は、生活への不安が大きくなり、普通の準備だけで大丈夫なのかと心配するのは当然でしょう。今回は『障害年金』についてお話ししたいと思います。

はじめに申し上げておきますが、障害年金とは本来、年金に加入している人が、がんや糖尿病などの病気やけがで、生活や仕事が制限されるようになった、つまり障害が生じたときに支給されるものです。血友病患者であれば、自動的に対象になるわけではありませんし、反対に関節状態がひどく悪くなっていれば、軽症でも受給対象になるかもしれません。

さて支給対象となる患者さんの障害の程度ですが、

1級の場合:障害基礎年金は「長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」となる。

目安としては「頻繁な出血傾向があるか、日常生活にかなり支障がでるような関節症状があるか、凝固因子製剤を頻繁に輸注していて」、かつ、「出血時間が10分以上か、凝固時間が30分以上か、血小板数が3万未満な状態」となります。

2級の場合:障害基礎年金は「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」となる。

目安としては1級と比べて、「中度の出血傾向か、関節症状があるか、凝固因子製剤を時々輸注していて」、かつ、「出血時間が5分〜10分か、凝固時間が20分〜30分か、血小板数が3万〜5万な状態」となります。

なお、障害年金には1級、2級しかありません。

次に受給には前年度の所得も関係することがあって、あくまでも現在(2016年1月)の目安ですが、扶養家族がいない場合で約460万円程度が境目になって(20歳未満の障害年金の所得制限)、障害年金の支給停止になります。支給額が減額されたり、扶養人数などで増減しますので、申請時には各市区町村の国民年金課の窓口で、「障害基礎年金を申請したいのだけれど、受給が可能か不可能か」を尋ねてください。注意していただきたいのは、血友病は基本的に先天性疾患ですから、20歳前障害となり、申請・相談窓口は各市区町村の国民年金課になります。今、厚生年金に加入している方の対応は、各市区町村の年金事務所により異なります。

このように手続きは複雑で、個人によって異なります。申請に際しては、かかりつけの病院のソーシャル・ワーカーを訪ねてみてはどうでしょう。主治医やスタッフと相談しながら進めると、ご自分の病状や症状を見直すよい機会にもなります。また費用がかかってよいとお考えなら、弁護士さんや行政書士さんに代理を頼むこともできます。