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17.高齢になったらどこで暮らす

Q

老後が不安です。老眼などで注射ができなくなったときに受け入れてくれる福祉施設はあるのでしょうか。まして、感染症をもっている場合は、施設入所がさらに厳しいと聞いたことがあります。高齢患者が利用できる施設について教えてください。

A

確かに注射をしてもらわなければならないとか、感染症の管理が必要といった条件により、入所のためのハードルが上がります。しかし、全く閉ざされているわけではありませんので、病院のソーシャル・ワー力—とよく相談してください。施設の種類は12あります。字数の関係で詳細は省きますが、列挙すると

[1]
 療養型医療施設-療養型病床群
[2]
 医療型療養病床
[3]
 介護療養型老人保健施設-療養型老健
[4]
 介護老人保健施設-老健
[5]
 介護老人福祉施設-特別養護老人ホーム
[6]
 痴呆症対応型共同生活介護-痴呆症高齢者グループホーム
[7]
 介護利用型軽費老人ホーム-ケアハウス-特定施設
[8]
 養護老人ホーム-特定施設
[9]
 軽費老人ホームA-特定施設
[10]
 軽費老人ホームB-特定施設
[10]
 有料老人ホーム・特定施設
[12]
 外部サービス利用型有料老人ホーム・高齢者専用賃貸住宅・老人住宅・老人アパート等…となります。

血友病の方が施設に求める条件は、製剤投与できる環境、服薬のための支援(関節状態の悪い方には介護的支援)となります。医療スタッフは、いるに越したことはありませんが、常駐していなくてもよいでしょう。これを勘案して上記から選択していくことになります。また、施設では利用できないとされていた高価な凝固因子製剤や抗ウイルス剤の使用も制度的に緩和され、制度・法律上では療養病床や老健などでの利用も可能になりました。これに伴って従来は門前払いだった施設も徐々に門戸を開きつつあります。しかし、まだ入所の実績はあまりないのが現実です。ひとつには特別養護老人ホームの入所待機期間が一般的に3年〜5年といった話に現れているように、血友病に限らず受け皿が圧倒的に少ないこと。そして施設側の経験不足と知識不足から受け入れに不安を感じることも要因のひとつです。医療者と患者さんたちが力を合わせて、整備の必要性を訴えていくことも大切です。

なお、行政改革・介護保険の導入・自立支援の開始以後、施設から在宅療養・介護に比重を移す社会的な流れがあります。自己注射が困難になったときでも、慣れ親しんだ環境がよいという方は多くいます。訪問看護の利用やヘルパーさんの支援により、在宅で生活を続けることができるかもしれません。あきらめずにソーシャル・ワーカーやケア・マネージャーと相談してください。