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『善意と医療のかけ橋』を目指して

日本血液製剤機構(JB)は、『善意と医療のかけ橋』を基本理念として、日本国民が使用する血液製剤は国内の献血で賄うという理念のもとに制定された血液法の趣旨に沿って、血液製剤の国内自給を推進し、将来にわたる安心・安全な血漿分画製剤の安定供給を目指し、営利を目的としない一般社団法人として、2012年から事業を開始いたしました。

JBの事業は、有限で貴重な献血血液による血液事業であり、希少疾病に対する医薬品を多く提供することからSDGsの各目標との親和性が高く、これからも事業の永続性を高め、事業の効率化とともにさらなる環境への配慮も考えていかなければなりません。

特に「地球環境への配慮/カーボンニュートラル」および「地域社会との共生」については、安定的事業運営を行ううえでの重要項目と考えています。

SDGs・カーボンニュートラル(CN)の推進は、2030年、2050年という長期目標の中で検討・推進する必要があり、JBでは昨年、血漿分画製剤を通じて社会に貢献するために中長期計画で掲げてきた5つのテーマと、SDGsに関連の深い「地球環境への配慮」および「地域社会との共生」の2つを加えた7つを重要事項(マテリアリティ)として設定いたしました。

そして、血漿分画製剤事業と社会のサステナビリティ実現に向け、年次や経験を問わず各部署から若い職員を積極的に登用し、管理職をサポートメンバー、ISO・CSR活動に深い知見を有する職員をアドバイザーとして加えたワーキンググループ(WG)を結成しました。このWGが中心となり、2030年までに達成すべき持続可能な国際目標達成とともに、SDGs/CN推進、サステナブルレポート発行、2050年CN達成およびサプライチェーン全体(Scope1,2,3)でのCN推進のための対策・施策などの検討・推進を行っています。

その一環として、使用電力を段階的にCN電力に切り替え、実質的なCO2排出量削減に取り組み、省エネタイプ設備への更新や太陽光発電の導入をはじめとする、多角的な省エネ対策についても検討を進めています。また、環境課題の解決に向け積極的に活動するとともに環境改善、環境保護および環境への負荷の低減などを実施し、地球温暖化対策に取り組んでいます。

さらに、節電(不在時や休憩時の照明オフ、気温に対応した柔軟な服装など)、各部門におけるペーパーレス化などを推進し、社内報での特集やワークショップの開催などを行い、職員に向けた情報発信にも取り組んでいます。

一方、世界に目を向ければ、地球温暖化、経済・医療格差、人権など深刻な社会問題が山積しています。血友病Aの治療に使用されている血液凝固第Ⅷ因子製剤は、世界では7割の患者さんが製剤の投与を受けられないという現実があります。そのため、2022年度から世界血友病連盟(WFH)が取り組む治療機会に恵まれない国への人道支援プログラムに参加し、JBで製造販売している血液凝固第Ⅷ因子製剤(献血血漿由来)の無償提供を、国内の安定供給最優先を前提としたうえで行い、2023年度も実施いたしました。

JBは、国民の皆様から頂いた献血という「愛」を血漿分画製剤という「力」に変えて、疾患に苦しむ患者さんの健康の維持増進、医療の向上に寄与することが事業の根幹です。これからも広く皆様の意見を拝聴し、患者さんや医療関係者の皆さんに信頼される高品質な製剤を安定的にお届けすべく邁進し、併せて社会のサステナビリティ実現にも貢献してまいります。

一般社団法人日本血液製剤機構 理事長 中西 英夫

一般社団法人
日本血液製剤機構 理事長

中西 英夫

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