私達の研究室は、試験管レベルや動物を用いた研究により、未利用の血漿たん白質成分(機能性たん白質)や既存製剤を対象に新たな薬理作用の評価やその作用メカニズムの解明に取り組んでいます。
血漿たん白質を対象としたこうした薬理研究は、単に既存製剤の改良や血漿分画製剤分野からの新たな医薬品の開発に寄与することにとどまらず、生体の生理作用のメカニズムを紐解くことにつながります。血漿たん白質に関連する疾患の発症メカニズムや血漿たん白質の生体内での作用は完全な解明に至っているわけではなく、今もなお、新たな知見が世界の医療研究者から報告され続けています。そうした疾患と向き合い、そして医療の進歩を志向して、私達は関連情報を収集し、新規技術を取り入れ、研究を進めています。
既存製剤のうち、静注用人免疫グロブリン製剤については様々な自己免疫疾患・神経難病への適応の可能性を検討しています。欧米では、自己免疫疾患等の難治性疾患の患者さんに幅広く使用されるようになっており、本邦においても同じような治療機会が提供できるよう、更なる適応の追加も検討しています。
新たな医薬品の開発に対しては、主に血漿たん白質の医薬品としての新たな利用価値について、その可能性を追求しています。疾患モデル等の研究ノウハウを蓄積すると共に外部の研究機関との共同研究を行なうなど、内外の研究資源を最大限に活用して効率的な研究活動を進めています。