JBでは、需要の大きい免疫グロブリン製剤の製造量に合わせて献血から複数の製剤を連続的に効率よく製造することに努めています。
また、血漿分画製剤のさらなる可能性を追求するために、血漿たん白の新規活用方法を含めた新規事業の検討などにも力を入れています。
JBが製造する血漿分画製剤は、善意の献血血液から作られています。JBでは本社をはじめ、中央研究所、千歳・京都工場において日本赤十字社の献血活動に積極的に協力しています。
また、各事業所献血のみならず、さらなる献血推進を図るため、2019年11月献血協力者については勤務時間中であっても勤務を免除する社内規則を制定しました。今後も引き続き、献血活動への積極的な協力を推進していきます。
勤務時間中であっても勤務を免除する社内規則を活用し、各自で地域の献血に協力しています。また、6月に献血の呼びかけにも協力しました。
毎年2回、献血ルーム(ミント神戸および三宮センタープラザ)のお手伝いとして献血協力の呼びかけを行い、献血にも協力しました。
2023年度は3回、移動採血車が来工し、職員の献血協力はもとより、近隣企業の方々にもご協力の呼びかけを行うなど地域との連携を図り、延べ179名のご協力をいただきました。
2023年度は、長田野工業センター自警連部会等の献血活動に京都工場の職員延べ149名が参加しました。
血漿分画製剤は、ヒトの血液の成分である血漿中に含まれる「血液凝固因子」、「アルブミン」、「免疫グロブリン」などのタンパク質を分離・精製した医薬品です。JBでは日本赤十字社の血液センターから届けられる血漿を原料に、千歳工場と京都工場の2工場で血漿分画製剤を製造しています。
※販売中止品目、販売中止規格について除外しています
少子高齢化社会により、献血可能人口が年々減少する中、献血血液を有効に活用し、人免疫グロブリン製剤の需要増に応じた製造数量が確保できるよう、製造収率の向上に取り組んでいます。
JBでは原料血漿を仕込む際に発生する、“ロスの低減”を継続的に取り組み、試行錯誤を繰り返しています。血漿バッグの硬さ調整(冷凍庫からの出庫のタイミング、バッグ洗浄機アルコール浸漬時間の調整など)や、解袋機解袋刃の使用回数の設定・解袋刃の形状変更などを行い、血漿が取り出しやすい状態を維持して“ロスの低減”につなげることができました。“善意の血漿”を1滴も無駄にしないように黙々と血漿を取り出す職員の地道な作業と合わさり、大きな成果(“ロスの低減”)を上げることができました。今後も“ロスの低減” “仕込み業務の作業負荷低減”を検討し、患者さんの思いを胸に、安心・安全・高品質な製品を製造していきます。
有用な血漿たん白質成分を新たな血漿分画製剤として開発することは、血液という貴重で限りある資源を有効に活用することとなります。血漿分画製剤はその特性から、化学合成医薬品のように新薬が次々と誕生することはありません。しかし、人の血漿中に含まれる血漿たん白質成分の中には、新たに医薬品として開発が期待できるものが存在することも、また生体内での作用メカニズムの解明が期待されるものが少なからずあることも事実です。JBは最新の技術を用いて、血漿分画製剤の分野から新たな医薬品を開発し、また既存の製剤を改良する研究開発を続けています。
こうした研究開発を進めるうえで、私たちは製品の安全性と品質の確保を最も重要な課題と位置づけています。特に、安全性に関しては、血漿分画製剤が人の血液を原料として製造することからウイルスなどの感染リスクを可能な限り低減させることが必要となります。そのため感染性病原体に対する安全対策研究を専門に行う研究室を設置すると共に、国内外の各種研究機関とのネットワークを構築し、未知の感染性病原体にも対応できるように研究を進めています。
そしてこの安全対策研究と基礎研究を担当する「中央研究所」、生産技術を担当する「技術開発部」、臨床試験を担当する「臨床開発部」、申請業務を担当する「薬事部」および推進業務を担当する「研究開発推進部」を研究開発本部内に組織し、連携を高め効率よい研究開発活動を進めています。
JB は、血漿分画製剤の研究開発で培った血漿たん白質分離・精製技術や病原体に関する知識・経験を活用し、人々のQOL*に貢献すべく、新たなたん白医薬品の開発、価値の創造を通じて社会の期待に応えられるように取り組んでいます。
*Quality of life(生命や生活の質)
免疫グロブリン製剤の需要増に応じた製造収率の向上に加え、利便性向上などの臨床現場のニーズを満たすために既存製剤の製法改良などにも取り組んでいます。また貴重な献血血漿を有効利用し、より多くの患者さんに製剤をお届けできるように、既存製剤の適応拡大にも取り組んでいます。さらに臨床現場におけるアンメットメディカルニーズを調査し、既存・新規製剤にこだわらず、血漿分画製剤による治療の可能性を常に探っています。
JBは製品の安全性と品質の確保を最も重要な課題のひとつと位置づけています。特にウイルスに対する安全性の研究に関しては、得られた知見を自社製剤の安全性向上に活用するだけでなく、学会発表や論文発表を通じて積極的に社会に還元しています。品質については外部機関とも連携し、常に最先端の分析法を用いた検証を行っています。
貴重な献血血漿の有効活用も重要な課題です。数百ある血漿たん白質のうち、すでに製剤になっている血漿たん白質は十数種類しかありません。そこで、善意の献血血漿を活用したアンメットメディカルニーズの充足を目指し、既存製剤の研究のみならず、新規血漿分画製剤の開発にも力を入れています。新規血漿たん白質の精製法構築と分析法構築、薬効評価などを行い、血漿分画製剤の新たな可能性を追求しています。
既存の血漿分画製剤の市場動向を踏まえ、当機構では医薬品としての既存製剤の製造、販売に限定せず、新たな事業展開の可能性も広く追求しています。これまでの取り組みである血漿たん白の新規活用方法を含めた新規事業の検討を継続するとともに、新たに制定した新規事業提案制度により職員からアイデアを募集し、新規事業に結び付ける取り組みを行っています。