JBでは、「善意と医療のかけ橋」の基本理念を掲げ、安心で安全な血漿分画製剤の安定供給と国内自給の達成に貢献します。
また、患者さんと医療関係者の最善のパートナーを目指し、ニーズに対応した既存製品の改良および新規製剤の開発を行っています。
JBは、「善意と医療のかけ橋」を基本理念に、献血者の皆さんの善意を血漿分画製剤という形に変えて、患者さんと患者さんを支える医療関係者のもとへ安定的にお届けしています。血漿分画製剤の国内自給は、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(血液法)」の基本理念で定められています。このため、国内自給の達成に貢献することをJBのビジョンの一番目に掲げています。
原料血漿の安定的確保に協力するため、国内血漿分画事業者3社による連携会議の枠組みにおいて、日本赤十字社と共に献血推進および血漿分画製剤の認知度向上に向けた活動に取り組んでいます。
国内献血血液を有効利用し、安全な血漿分画製剤を必要とする患者さんへ安定的かつ適切に供給する使命を遂行するため、国内血漿分画製剤メーカー3社で協力し、連携しています。必要原料血漿の確保に向けた、献血推進活動への積極的な取り組みや国内自給や安定供給への理解を深めていただくための患者さん、医療関係者向けパンフレットを制作しています。
将来の人免疫グロブリン製剤の需要動向を正確に把握することが安定供給に向けた対応につながることから、当機構を含めた国内血漿分画事業者3社は、日本赤十字社および厚生労働省医薬局血液対策課と連携の下、引き続き需要動向把握に取り組みます。
JBのビジョンの一つに「安心・安全を最優先に血液製剤の安定供給と国内自給の達成に貢献します」を掲げています。現在、JBが製造販売している血漿分画製剤は現代医療に欠かせない基礎的な医薬品であるばかりでなく、代替となる医薬品が存在しない製剤もあります。
JBは、善意に基づく日本国内の献血から得られた有限かつ貴重な血漿を有効に活用し、製品の製造における品質の確保および安定供給に努めてまいります。また、国内で原料血漿を確保できない一部の特殊免疫グロブリン製剤においても、別途血漿を確保して有効に活用してまいります。
医薬品は、医療費抑制政策の下、毎年薬価改定が実施されるなど、事業を取り巻く環境は厳しい状況が続き、日本の血漿分画製剤全体の市場は縮小傾向にあります。基礎的医薬品とは、平成28年度の薬価制度改革から試行的に導入され、医療上必要性の高い医薬品を継続的に供給できるよう、不採算や最低薬価になる前の薬価を下支えする制度で、一定の要件を満たす医薬品が「基礎的医薬品」として認められ、薬価改定の際、その薬価が維持されます。
JBでは、中間年改定となる2023年度薬価改定において供給停止を予定している品目を除く全ての製造販売品目が基礎的医薬品の指定を受けました。
有限で貴重な献血血液から製造される血漿分画製剤の特性を踏まえて、安定的に医療機関へ製品をお届けするための体制整備に取り組んでいます。また、製品の流通では、東・西日本物流センターから医薬品卸売企業拠点への配送過程に定温車両を導入しました。従来よりも厳密な温度管理により、製品品質の担保を図っています。
JBでは、新規医療ニーズおよびシーズの探索を目的として、関連論文や専門医からの意見聴取による情報収集活動を実施しています。これまで、さまざまなニーズを基に、注射用水の容量の変更など製品の改良を行ってまいりました。
乾燥濃縮人血液凝固第Ⅷ因子製剤「クロスエイトMC
静注用」は、高単位規格を発売することにより、患者さんの個々の治療内容に合わせた規格を選択いただけるようになりました。また、「献血ヴェノグロブリンIH10%静注」は、患者さんと医療関係者の双方にとって使用しやすい有用な製剤となっております。今後も医療現場からのニーズや問題・課題を発掘し、解決することで社会に貢献してまいります。
JBでは、患者さんの命を守る医療関係者の皆さんのパートナーとしてお役に立てるように、定められたMR教育に加え、関連疾患の病態に関する知識を習得したMRを全国に派遣しています。血漿分画製剤の特性を踏まえ、安全性確保を最優先とし、患者さんや医療関係者の皆さんの視点に立ち、より的確な情報提供・収集活動を行います。高い倫理観と使命感の下、医療現場で必要とされる幅広い知識を兼ね備えた血漿分画製剤の専門家として、患者さんや医療関係者に信頼されるパートナーを目指します。
JBでは、製剤の適正使用へつなげることを目的に、くすり相談室を組織しています。これまでに蓄積した豊富な情報や最新の国内外の関連情報をそろえたデーターベースを構築し、また、問い合わせ対応を通じて得られた情報を基にさまざまなニーズにお応えできるよう、努めてまいります。
血漿分画製剤の役割は、貴重な「献血(血液)」をそのまま使用するのではなく、物理化学的操作を施すことにより、有効かつ安全な形に変えて提供することにあります。
しかしながら、その原料が人の血液であるため、ウイルスなどの感染性物質の混入の可能性を完全に否定することはできません。
血漿分画製剤の各種ウイルスに対する安全性を確保するために、当機構では下の3段階における対策が重要であると考えています。
それぞれの段階において、「血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドライン」*1および「血漿分画製剤のウイルス安全対策について」*2に準拠した対策を講じる必要があり、いずれか一つの対策により安全性が確保されるものではありません。
献血(あるいは血漿採取)時に問診やウイルスに対する血清学的試験などによる確認を行います。原料となる血漿をプール(プール血漿)し、ウイルスの検査を実施し、製造工程ではウイルス除去・不活化処理を実施します(その効果についてはウイルスクリアランス試験により検証)。さらに、最終製品において、HIVや肝炎ウイルスなどの核酸増幅検査を実施し、国家検定で合格した製品を医療機関にお届けしています。(上図参照)
医薬品は、医薬品医療機器等法により品質と安全性を確保するための厳格な管理が義務付けられています。
これら基準に適合していることで、医薬品の製造販売業(本社)および製造業(千歳および京都工場)の業を営むことが許可されています。また、医薬品の製造販売後調査については、GPSP(Good Post-marketing Study Practice、製造販売後の調査および試験の実施の基準)に基づく体制によって、使用成績調査などの各種調査が進められています。
JBは、今後も患者さんのお手元に適正に使用していただくための情報とともに、安心して使用していただける品質の血漿分画製剤が届けられるよう、製品の品質保証と安全管理を遂行するための信頼性保証体制を構築しています。(下図参照)
そのうえで製造販売業としてGQP、GVPの相互連携を図るため、医薬品等総括製造販売責任者、医薬品等品質保証責任者および医薬品等安全管理責任者による連絡会を定期的に開催しています。
近年、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)や医薬品査察協定/査察協同スキーム(PIC/S)などにより国際的な医薬品品質管理基準が整備されてきており、それに対応するためには製薬企業において製品品質向上のための仕組みの構築が不可欠になってきています。
JBでは、組織的な品質管理と継続的な改善活動により患者さんおよび医療関係者の満足度向上を図ることを目的に、2014年にICHのガイドラインに基づき、「医薬品品質システム」を導入し品質マニュアルを制定しました。
この品質マニュアルにより経営陣が参画した定期的なマネジメントレビューなどを実施し、下記の「品質方針」の下、製品の継続的な品質改善に取り組んでいます。
JBのホームページでは、医療関係者向けサイト「JBスクエア」、患者さん、ご家族の皆さん向けWebサイトを公開しています。このサイトでは情報提供の強化に取り組んでおり、疾患に関する最新情報やお役立ち情報を掲載しています。サイトを充実させることにより、アクセス数が大幅に増加しました。
また、プロモーション環境の整備については、医療関係者向けWebサイトに新たにチャットボットを導入し利便性を向上させたほか、プロモーション活動に資する顧客ニーズを把握するため、マーケティングオートメーションツールを導入しトライアルを開始しました。
今後もさらなる情報提供の充実に取り組んでいきます。
JBでは、GVPおよびGPSPに基づき、医薬情報担当者(MR)を通じ、製品をご使用いただいている医療関係者の皆さんから医薬品の有効性、安全性情報を収集しています。それらの情報の検討を積み重ね、そこから得られる情報を迅速かつ的確に医療関係者の皆さんにフィードバックすることで、医薬品を適正に使用していただけるように努めています。
なお、これらの情報収集、提供活動においては、関係法令や基準を遵守し、また業界自主規範などにも十分な配慮を行っています。