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サステナブル座談会「ありたい未来」の京都工場を描く

京都工場 SDGs / CN 推進ワーキンググループ

京都工場が取り組んできたサステナビリティ施策の原点

私たちの工場がある京都府は1997年に先進国間で初めて温室効果ガス排出量削減目標を決めた「京都議定書」の採択地です。これを機に京都府では地球環境京都宣言を出し、温暖化対策条例なども制定しています。以来、行政も熱心に取り組んでいますが、企業活動における環境対策やCO2排出量削減はまだまだ大きな課題です。京都工場では、行政や地域の企業と良好な協力関係を築きながら、サステナビリティ施策を行ってきました。

私たちの力だけでは、有効なサステナビリティ施策は実現しません。エシカル消費、ESG経営、サーキュラーエコノミーといったサステナビリティ関連の最新知識や事例を学びつつ、外部との連携や技術提携も進めていき、そして、私たち京都工場のあるべき理想を思い描きつつも、まずは実効性のある取り組みから着手してきました。

考えるきっかけと出会うことが最初の一歩だと思います。たとえば、5年前は、SDGsなんてほとんどの人が知りませんでした。それが今では小学生でも語れるようになり、誰もが知りうる共通認識になりました。みんなで考えていけば、きっと答えは見つかるはずです。我々も自分たちが気づいたこと、できることから取り組んでいこうという発想から、京都工場のサステナビリティ施策は始まっています。

私は2022年に京都工場でSDGs / CN推進WGが発足したことをきっかけに、関心をもつようになりました。岸川さんや外賀さんが行動する姿から多くを学ばせていただいています。私自身も、地球環境に役立つことを工場全体で取り組めることにやりがいを感じています。

私と外賀さんは製造も経験したのち工場全体のマネジメントに携わるようになりましたが、佐藤さんは設備技術課での経験があり、技術的なアドバンテージがあります。また、工場を代表してサステナビリティ施策に関する工場見学会や本社との連絡なども担当してもらっています。サステナビリティ実現につながる情報発信で、ますますの活躍を期待したいですね。

行政・研究機関と連携して、環境テクノロジーの実証実験に貢献

行政との最新の連携では、2024年2~3月に京都府主催「水素式燃料電池フォークリフト(FCFL)実証実験」に参加しました。京都工場がある長田野工業団地での実施が決まり、府の担当部署からぜひJBでやってほしいとご指名をいただきました。

水素式燃料電池フォークリフト(FCFL)実証実験

日頃、岸川さんが廃棄物の届け出や環境施策の質問などで行政と密に連携されている賜物ですよね。FCFLは定格車重2.5トンとパワフルであり、10分の充填時間で2週間も使用できてパワーも性能も高いと聞き驚きました。

資材チームに1ヶ月半試乗してもらい、ガソリン式のFLと比べた使用感や充填に関する意見など情報を収集し、京都府が主催するFCFL実証見学会で発表しました。

水素は次世代エネルギーとして大きな可能性を秘めています。京都工場でもCO2排出量削減のソリューションの一つとして注目していきたいと思いました。

京都府との連携では、2019年に「IoT技術を活用した循環型社会形成実験」にも参画しています。工場で発生する廃棄物は多種であり、それぞれの処理業者につど連絡して回収を依頼するのは、手間とコストがかかります。そこで廃棄物置場に設置したスマートセンサーで量・種類を読み取り、自動通知・回収依頼できるシステムが開発されました。JBの実証実験では情報の正確性、通信状態、気候の影響などを検証し報告した結果、今では京都市内で実用化されているようです。

こうした実証実験への参加は、我々にとっても新しい働き方を考えるヒントになりますよね。

そうですね。最新技術に触れることで、今のやり方が本当に最適な方法なのかを改めて考えさせられます。また、行政の目指す方向性や政策をいち早く知ることができるのもメリットだと感じています。

廃棄物置場に設置したスマートセンサー
IoT技術を活用した循環型社会形成実験

収集運搬業者が、配信情報を把握し効率的に収集運搬を行うことで、業務効率化・コストダウン・トラック燃料の消費抑制によるCO2排出量の削減などに寄与

カーボンニュートラルに向けて使用電力の段階的削減を目指す

JBのCO2排出量の推移グラフ

カーボンニュートラル(CN)に向けてJBでは2030年度までにCO2排出量を46%削減することを目標に掲げています。京都工場でも同様の目標に向かっており、2023年度では752トン削減、約2.7%削減することができました。

CO2排出量の削減には、工場の使用電力量を削減する省エネ対策が欠かせません。京都工場では老朽化した機器の中長期メンテナンス計画を立てています。その一環として、5号棟A号機コンプレッサー更新工事を行いました。

5号棟A号機コンプレッサー更新工事

更新にあたっては、省エネと高機能を両立する機器を選定しなければなりません。オゾン層破壊につながるR22冷媒使用の機器が禁止される2020年を見据え、代替フロンHFCを使用したR32の機器が登場したことから、2018年に先取りして更新工事を行いました。その結果、従来の半分の設置スペースで、60~70%の電力に抑えることができました。

こうした設備の更新や照明LED化などの省エネ活動により、工場全体でCO2排出量の削減に取り組むととともに、さらに目標達成に向けて加速すべく、CO2が排出されないカーボンフリー電力を段階的に購入する契約を関西電力と結びました。

関西電力とは常日頃から管理課や設備技術課で連携することが多く、JBの事業の社会的重要性を鑑みて、カーボンフリー電力サービスも早い段階でご提案をいただきました。2024年1月から2030年度までの長期契約にすることで、契約条件や価格交渉などが有利になるメリットを見込んでいます。

大規模停電や災害に備えた事業継続計画(BCP)

大規模停電や災害に備えた事業継続計画(BCP)

私たち工場の使命は、血漿分画製剤の安定供給と、善意の献血による原料血漿を余すところなく活用することにあります。しかし、2018年に相次いだ台風21号による大阪・関空の大被害、北海道胆振東部地震は、大規模停電による製品や原料の損失リスクが身に迫った際には安定供給や善意の献血が無駄になるのではないかと危機感を覚えました。

胆振東部地震の発生時、私は千歳工場で勤務していたのですが、停電によるブラックアウトを経験しました。停電になると非常用発電機による電源供給となるため、工場で備蓄している燃料だけでは乗り切れず、追加の燃料確保に非常に苦労しました。

JBでは燃料供給体制の充実が必要との経営判断が早急に下され、京都工場では非常用自家発電稼働燃料体制の確立を進めてきました。
一つ目は、工場内燃料備蓄庫の拡張です。工場内の危険物倉庫に6,000リットルの軽油が保管できる体制を整えました。これにより停電発生から12時間は、工場内の燃料と非常用発電装置で電力を維持することができます。
二つ目は、関西電力と日本BCP社のバックアップのもと、工場から7キロ地点に燃料基地を設置し、30,000リットルの軽油を保管できる燃料備蓄用タンク貯蔵所をつくりました。

燃料基地では、24時間365日燃料を供給できる体制になっています。

その際は、職員が協力して、車両受入や軽油補充の作業にあたります。体制整備として、管理課と設備技術課が中心となり、確認・訓練を年1回以上実施しています。

災害時には、いつものように落ち着いて行動できる状況になかったり、手順を忘れる可能性があります。定期的に訓練 を繰り返すことで、体で覚えていくことが大切だと考えています。

大規模停電や災害に備えた事業継続計画(BCP)

廃棄物の有価売却で、再資源化に貢献する

さらに京都工場で力を入れているのが廃棄物の有効活用です。環境問題は、廃棄物問題と切っても切れない密接な関係にあります。廃棄物は工場の取り組み次第で改善できる部分も大きく、資源回収による再資源化を促進してきました。

資源回収や使用削減による廃棄物の削減量は、2023年度では987.71kgに達しています。

廃棄物置場

みんなで頑張った成果ですね。とくにプラ新法では1事業者あたり年間250トン以上の廃プラを排出すると、多量排出事業者に認定されます。京都工場の排出量だけで年間130トンに上りますから、削減のために5月からポリ袋やポリ瓶の資源回収も開始しました。プラスチックは素材ごとに分別し、汚れなどのない品質を保った状態で排出することで、有価売却して再資源化することができます。さらに、7月には遠沈管、12月にはホースのカシメ部(ステンレス)、ブレードホース、カラムボディ(アクリル板)、消火栓用ホース(真鍮)、空調用フィルターなどの有価売却も開始しました。また、プラスチック、金属、古紙、段ボールなども有価売却に回して、再資源化につなげています。

製造現場からは毎日多くの廃棄物が発生しますが、きめ細かな分類を行うことで廃棄物削減につながりました。これだけの品目を資源回収につなげられたのは、岸川さんのリサーチ力ですよね。

お付き合いのある産業廃棄物事業者や古物商などへのヒアリングや相談はつねに行っています。彼らのネットワークから新たな回収業者を開拓し、資源回収の品目を増やすことができました。

職員の理解と協力があってこそサステナビリティ施策は実現する

サステナビリティ施策を実行・継続していくには、職員の皆さんの理解と協力が不可欠です。SDGsカードゲームや動画で楽しみながら学んでもらったり、私たちがこまめに活動報告を発信するのが大切なことなのかなと思います。

SDGsカードゲーム

SDGs目標達成に向けて、職員の皆さんには献血をはじめ、クリーンキャンペーンや工業団地内の交通立ち番、スポーツイベントなどにも積極的に参加していただいています。こうした活動に一体感をもって前向きに取り組めるのが京都工場の良さですね。

JB全体としても、理事長がSDGs、CNの旗を高く掲げてくれていますから、工場でも取り組みやすい環境になっています。

環境技術は日々進化しており、昨日までは不可能だったことが今日は可能になる変化の速い分野です。我々も最新の環境技術にしっかりアンテナを張っていきたいですよね。もしかしたら、バイオマス発電や工場コンポストが京都工場で実現する日が来るかもしれません。

そうですね。持続可能な社会と、あるべき未来の京都工場を思い描き、私たちにできることから進めていきましょう。

京都工場 SDGs / CN 推進WG

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