今回は関節内出血後の関節可動域訓練です。出血が止まって関節の腫れが落ち着いてきたら、腫れの引き具合に合わせて少しずつ関節の可動範囲を回復させる運動(関節可動域訓練)を行っていきます。止血後早期(止血から一週間程度)は、無理をすると再出血の危険性が高いので、出血による熱感・腫れ・痛みが完全に引くまでは、関節を動かしても痛みが強まらない範囲で軽く行うようにしましょう。
関節可動域訓練では、一つの関節にのみまたがる筋肉(単関節筋)と二つ以上の関節にまたがる筋肉(多関節筋)の影響を考慮する必要があります。回復させたい関節運動方向が多関節筋の影響を受ける場合、多関節筋の影響を受ける(筋が突っ張る)ポジションと影響を受けない(筋が突っ張らない)ポジションの両方を行うとより効果的です。例えば、膝の曲げ(膝屈曲)の場合、多関節筋はふとももの前面にある大腿四頭筋のうちの大腿直筋になります。膝関節屈曲の可動域訓練の具体的方法は、まず図1のように大腿直筋の影響を受けないポジション(股関節を曲げた状態)で①~④を行った後、図2のように大腿直筋の影響を受けるポジション(股関節を伸ばした状態)で① ~④ を行います。可動域訓練は無理をすると危険です。一度にたくさん可動範囲を拡大しようとせず、毎日少しずつ行うようにしましょう。
出血していない関節と比べて出血関節に熱感がある場合は冷湿布などでやさしく冷やしながら訓練を行い、熱感が治まっていたらお風呂や蒸しタオルなどで温めながら行うと訓練時の痛みを和らげます。
完全に出血関節の力を抜いた状態で動かす(他動運動)。
両手(出血関節が肘や肩の場合は反対側の手)を使って、無痛範囲でゆっくりやさしく動かす。
補助力を加えながら徐々に力を入れて動かす(自動介助運動)。
両手(出血関節が肘や肩の場合は反対側の手)で補助力を加えながら徐々に力を入れて行います。
自力のみで動かす(自動運動)。
自力で動かせる限界点から他動で軽く圧を加え続ける。