• 体幹を鍛えよう2

Training 20体幹を鍛えよう2

血友病性関節症のある患者さんは、体幹の動きを多く必要とします。例えば、膝関節が出血した場合、普段より膝関節を動かせなくなりますので、歩くときに通常よりも腕を大きく振ったり、反対側の脚を振り出すスピードを速めたり、体幹部の側屈や回旋が大きくなったりします。このようなある部位の運動機能低下を他の部分が補う働きを「代償(だいしょう)」といいます。代償動作では通常よりも腕や脚の関節の負担が大きくなるため、関節症のある血友病の患者さんは代償側の肘や足や膝などの関節に出血を起こすことがしばしば見られます。体幹の筋力と柔軟性が高ければ、腕や脚の負担が減ります。それゆえ、普段から体幹の筋力と柔軟性を強化していくことが血友病の患者さんにとって非常に大切になるのです。

学習方法

前回、体幹の腰腹部の周囲の筋肉(腹横筋(ふくおうきん)、内・外腹斜筋(ない・がいふくしゃきん)、骨盤底筋(こつばんていきん)、多裂筋(だれつきん))を同時収縮させコルセット状にしながら胸式呼吸を続けるドローインというトレーニング方法を紹介しましたが、今回はその続編で、ドローインをしながら体幹の筋力と柔軟性を強化する坐位バランス練習方法を紹介したいと思います。

坐位バランス練習

始める前にベッドやソファーなど動いても安全なところに座り、ドローインを行います。

身体を側屈させる

10秒〜15秒キープ/左右3回
  1. 両足を床にしっかりと着けます。
  2. ドローインを続けながら身体を側屈させます。

身体を後方へ倒す

10秒〜15秒キープ/後方3回
  1. ドローインを続けながら仙骨を中心に後方にゆっくりと重心を移動し、床から足を離して身体を後方へ倒していきます。
  2. 後方へ倒れる限界手前でバランスを保ちます。

身体を側方へ倒す

10秒〜15秒キープ/左右3回
  1. ドローインを続けながら片方の坐骨を中心にゆっくりと重心を移動し、だいしょう床から足を離して身体を側方へ倒していきます。
  2. 倒れる限界手前でバランスを保ちます。

円を描くように重心移動

10秒~15秒で1周/左右3周
  1. ドローインを続けながら、床から足を離します。
  2. 軸の中心を左坐骨→仙骨→右坐骨→左坐骨と円を描くようにゆっくりと重心を移動し、
    それぞれの方向へ倒れる限界手前でバランスを保ちながら重心を移動させます。

※ 決して無理せず、転倒して怪我をしないように、安全第一で行うようにしてください。

公園のベンチや休憩用の長椅子など、安定している椅子があれば特別な道具を必要とせず、手軽に行えるので、学校の授業の合間や仕事の休憩時などに行うことが可能な運動です。また、腰部・腹部に連動して、頸・肩・胸の運動になりますので、姿勢改善や腰痛・肩こりの予防にも効果が期待できます。隙間の時間を上手に利用して、体幹を強化し、バランス能力をアップしていきましょう。