血友病性関節症では、関節の腫れや痛みが慢性的に続くことがあります。特に股・膝・足関節では、陸上での運動は股・膝・足関節に体重による負荷がかかるため、症状が悪化することがあります。このような場合、水中ウォーキングや水泳など、水中での運動療法が推奨されます。水中での運動は、浮力による下肢の関節の荷重負担の軽減(水面が胸の高さだと体重の約70%、おへその高さだと50%が軽減される)、水の抵抗による筋力強化、関節の状態に合わせた運動負荷の容易な調整(水の抵抗は速い動きで大きくなり、ゆっくり動くと小さくなる)、水圧で静脈還流が促され陸上での運動に比べて運動中の血圧の上昇が抑えられるなどの利点があります。
水中での運動は、陸上の6~7割の仕事量で3~4割増しのエネルギー消費が得られるという報告があるように、関節への負担が少ないうえに、効率の良い運動ができます(例えば、水中ウォーキングは、陸上で同じ時間ウォーキングするより約1.3倍の運動量になるといわれています)。リラックスして自分のペースで運動を行うようにしましょう。
血圧:上180/下100mmHgを超える場合、安静時の脈拍100回/分または40回/分を下回る場合、発熱、頭痛、めまい、腹痛、下痢、嘔気などいつもと違う自覚症状がある場合は運動を行わず、医師にご相談ください。
準備運動前に全身を軽く温める。運動前は長時間温め過ぎない。
手足が水の中で攣らないように、水に入る前に十分に全身体操を行う。
冷えた身体を十分に温める。
ゆっくりと上肢・下肢・体幹のストレッチ運動を行う。