• 肩こり3

Training 17肩こり3

今回は肩こりと筋力トレーニング(筋トレ)についてのお話です。前回に紹介させて頂いた「肩こりのストレッチ体操」を行った後、筋トレも合わせて行うことにより長期的な効果が得られます。筋トレとは、筋力増強を狙って関節を動かす骨格筋に負荷を与えて筋肉を働かせることです。肩こりは筋肉の中に乳酸などの疲労物質が貯留することが原因の一つですが、筋肉が硬くなることで血液やリンパ液の流れが更に悪くなり、肩こりの悪循環が生じ症状が長期化します。筋トレを行うと、筋細胞の内外のカルシウムやカリウムなどのイオンバランスが変化し、筋細胞に水分が流入し筋肉が膨らみます。これをパンプアップ(Pump up)といい、この一時的な筋圧の高まりにより、筋細胞周辺のリンパ液や血液の環流を増加させ、酸素や栄養の供給を助け、疲労物質の排出を促します。また、筋トレの刺激で、血流が増え、酸素の供給量が高まり乳酸の分解が進みます。また、身体の成長に作用する成長ホルモン、肉体的ダメージの回復や肉体の若返りの効果のあるテストステロン・マイオカインなどのホルモンの分泌も促されます。適度な筋トレを定期的に行っていくことで、長期的に肩こりを解消するだけでなく、疲れにくいタフで頑丈な身体づくりに繋がります。

僧帽筋の種類

僧帽筋トレーニング

今回は肩こりの訴えが多い僧帽筋をターゲットに筋トレ方法を紹介したいと思います。

※前回紹介した肩こりのストレッチやマッサージをするなどして、首や肩まわりをほぐしておきましょう。

準備

ペットボトルを用意

水の入った500ml~2ℓのペットボトルを買い物袋などに入れて重錘(じゅうすい)として使います。
重錘は両手で同時に使いますので2つ用意しましょう。(1~3 ㎏程度の鉄アレイやダンベルでも可)

筋肉トレーニング
[僧帽筋上部線維]

袋を両手に持つ

直立位で肘を伸ばした状態で両腕を体側に垂らし、用意した水入りのペットボトルなどの重錘をそれぞれ両手に持って、肩と腕の力を抜きます。

持ち上げ3秒キープ!

腕を伸ばしたまま、両肩を同時に耳に近づけるように肩をすぼめながら重錘を持ち上げ、3秒間キープし、その後ゆっくりと力を抜きます。これを10回繰り返します。
このとき、できるだけ腕の力を使わず、僧帽筋を使って肩甲骨を上方へ動かすように意識してください。

筋肉トレーニング
[僧帽筋中部・下部線維]

袋を片手に持ち、姿勢を安定させる

膝を軽く曲げ、前かがみになって、腕を60~90°前方に垂らし、2で使用した重錘を片手に持ちます。姿勢を安定させるために壁やテーブルなどに反対側の手で支えます。

持ち上げ3秒キープ!

肩甲骨の内側を背骨に近づけるように重錘を持ち上げ、3秒間キープし、その後ゆっくりと力を抜きます。これを10回繰り返します。

袋を持ち替え3秒キープ!

反対側に持ち替えて、同様に10回繰り返します。このときも、腕の力よりも僧帽筋を使うことを意識して、肩甲骨を内側へ動かすようにしてください。

筋肉トレーニング[肩甲骨周囲筋群(けんこうこつしゅういきんぐん)]

肩甲骨を後ろから前に回す

姿勢を直立位で肩甲帯を回します。まず後方から前方に回す動きです。①で使用した重錘を両手に持ち、両側に垂らします。腕を伸ばしたまま、胸を開くように肩甲骨を内側へ動かしながら肩をすぼめ(1)、肩甲骨を引き上げます(2)。

手前に回して元の姿勢に

肩甲骨を引き下げながら、胸を閉じるように肩甲骨を外側へ動かし、もとの姿勢に戻ります。動きの速さはゆっくりと、10回繰り返します。次に、逆方向の前方から後方へ同様に10回行います。

クーリングダウン

使った筋肉をほぐす

首や肩をよく回して、肩甲骨周囲の筋肉をほぐして終了です。

筋トレの後に筋肉に軽い疲労感と張りを感じられれば十分です。使用する重錘は、軽いと感じる程度の重さから始め、物足りないと感じるときでも少しずつ増量するようにしてください。頻度は2~3日に一度でOKです。一度にたくさんの回数を行って関節や筋肉を傷めないようにしてください。