• 肩こり4

Training 18肩こり4

今回は筋膜(きんまく)についてのお話です。ストレッチや筋トレを行って、肩こりが一時的に良くなってもすぐに元に戻ってしまうような人は、もしかしたら筋膜に原因があるのかもしれません。

学習方法

筋膜とは?

筋膜とは、皮膚、骨、筋との中間の位置に存在している丈夫な膜状の結合組織です。筋肉がスムーズな収縮運動を繰り返し行うためには、他の組織との摩擦が最小限に抑えられ、伸び縮みや外力が加えられても一定の形が保たれなければなりません。これらの役割を持つのが筋膜です。「筋膜」と名前が付いていますが、じつは筋膜は筋肉だけではなく全身に存在しており、下の二つに分けられます。

  • 浅筋膜(せんきんまく)

    全身を包むように皮下に広がって存在する

  • 深筋膜(しんきんまく)

    骨や腱、筋肉、各種臓器、血管、神経を包むように存在している

筋膜はコラーゲンとエラスチンに富み、よく伸縮し、可塑(かそ)性があります。また、網の目のように線維が張り巡らされ、多重層構造で丈夫です。筋膜は、各組織がお互いにくっつかないように分け隔てているだけでなく、筋肉や腱に連結して組織や器官をあるべきところにきちんと収め、また臓器などを保護してくれています。このように全身的に支持機能を担っていることから「第二の骨格」とも呼ばれることもあります。さらに筋膜は、自由終末などの神経受容器が無数に存在し、感覚器官としての役割があります。また、リンパ管や免疫細胞も存在し、新陳代謝や免疫システムにも関与するなどの働きもあります。

筋膜の機能低下

筋膜は、怪我や長時間の圧迫など何らかの原因で血流が悪くなり、本来の弾力性が低下し歪みやシワが生じると筋膜の機能が低下します。筋膜は全身的につながっているため、一部でも不調が生じると連動して他の部分も影響が出ることが知られています。

例えば・・・

ふくらはぎの筋肉が疲労でパンパンに張っていると首や肩のコリが酷くなることがありますが、原因がふくらはぎの筋膜の不調からくるものなので、首や肩をストレッチやマッサージをしても、すぐにコリが再発します。この場合、ふくらはぎの緊張を緩めたうえで首と肩のコリをほぐす必要があります。

筋膜リリースの手順

筋膜を緩める方法の一つに「筋膜リリース(筋膜はがし)」と呼ばれるテクニックがあります。マッサージやストレッチが個々の筋肉を狙うのに対し、筋膜リリースは皮下の筋膜全体を意識して行います。筋膜リリース用のフォームローラーなどの専用の道具を使用すると便利ですが、硬式テニスボールやサッカーボールなどの身近な物でも十分に効果があります。また道具を使用しないで、自分の手で筋膜を操作する方法や、ヨガのポージングのように姿勢で筋膜を伸ばす方法もあります。

硬式テニスボールを使用した肩甲帯周囲筋リリースの一例
  1. ボールを1個、床に置きます。
  2. 仰向けになり、ほぐしたい部分にボールが当たるように調節します。
  1. 気持ちの良い強さまで体重をボールにかけていきます。
  2. ゆっくり身体を動かしてボールを転がし、徐々に範囲を広げながら筋膜を伸ばしていきます。

筋膜リリースはたくさんの方法がありますが、道具を使用する場合、表面が硬いものや、先端が尖ったもので行うと皮下や筋肉内出血を起こしますので、道具は皮膚や筋肉を傷つけないような接触面が柔らかいものを使用してください。また、運動の後に行うことが多いですが、準備運動と合わせて行っても効果的です。刺激が強いと、後日揉み返しが強く出ます。少しずつ様子を見ながら施行する時間と刺激の強さを調整しながら行うようにしてください。