Conclusionおわりに

著者の久保田 実先生は、現代リハビリテーション医学に裏打ちされた深い理論と知識に加えて、関節外科専門病院での多くの患者さんを通して得た豊富な経験から、丁寧にかつ格調高く、本サイトを企画、作成してくださいました。

本サイトでは、血友病患者さんが終生にわたって対峙しなければならない出血、ことに、反復する関節出血とそれに伴う関節症への対応として有効、有用な“メンテナンス体操”から関節出血予防策までを記載してあります。さらに、日常最も訴えの多い腰痛や肩こりなどを取り上げて具体的にわかりやすく解説いただいています。

その内容は、項目ごとに精緻な理論から説き起こし、具体的な方法や運動などがわかりやすく解説されています。寺島デザイン制作室によるたくさんの挿画は、読者の皆様の理解と実践に大いに役立つことでしょう。イラストレーターの中井 令さん、波能 さやかさん、佐々木 美保さんに改めてお礼を申し上げます。

これからの血友病治療は、包括医療体制の下、従来の止血治療から新しい止血薬を用いての出血予防に向かいます。患者さんの日常生活は社会人一般と同様な量と質を保証することに向かいます。そこには患者の皆さまにも準備をしておいていただかなければならないこと、即ち、すでに生じた関節症をこれ以上には進まないように、そして、発症するかも知れない関節症の予防と早期対応を本サイトから是非学んでいただきたいのです。本サイトはそのためにきっとお役に立つことでしょう。

2018年10月

奈良県立医科大学名誉教授・前学長
吉岡 章