• 関節内出血の止血後早期から行う等尺運動

Training 01関節内出血の止血後早期から
行う等尺運動

今回は止血後早期から行える「関節を動かさないで筋肉を鍛練する方法」(=等尺運動)を紹介します。関節内出血後、過度に安静・固定・不使用をしてしまうと筋力低下や可動域制限により関節が弱くなり、出血し易くなります。しかし、痛みや腫れが強い段階で関節に負荷をかけて曲げ伸ばしを伴う運動を行うと再出血の危険が高くなります。そのため止血後できるだけ早く運動を開始するには関節を動かさないで筋力を維持することができる「等尺運動」が第一の選択肢になります。しかし、関節を動かさないで筋肉を意図的に収縮することは意外と難しく、出血後に痛みがあると力が入りにくくなり難易度が増します。そのため普段から練習をして慣れておくことが大切です。

学習方法

等尺運動を学習する方法の一つに「ボール潰し」があります。関節運動を起こさないように関節の周囲の筋肉に力を込めて固定し、ボールを関節より遠い部分に当て、反対側の手足などを利用して抵抗を加えて潰す方法です。ボールを潰す負荷がかかることで無負荷の場合に比べて目的とする筋の収縮が得られやすいので、学習し易いです。使うボールは、ソフトキャンディーボールのような「軽く、伸縮性に富み、滑りにくく、潰しても割れないもの」が良いです。

慣れてくるとボールを使わなくても狙った筋肉の等尺運動ができるようになり、場所を選ばずいつでもどこでも筋トレが可能になります。ぜひマスターしていきましょう!

肩と股関節の等尺運動の一例

  • 肩関節の内転方向の等尺運動の例

    腕を伸ばして右手にボールを持ち、左手でゆっくりボールを押して潰します。右腕が動かないようにコントロールして左の押す力に耐えることで等尺運動になります。

  • 股関節の内転方向の等尺運動の例

    脚を伸ばして左右の足の土踏まずでボールを挟み、左足でゆっくりボールを押して潰します。 右脚が動かないようにコントロールして左の押す力に耐えることで等尺運動になります。

ボールの感触を確かめながら少しずつ力を込めて潰していき、ボールを潰した状態で3~5秒間潰し続けて、ゆっくり力を抜いていきます。

注意点

痛みを我慢しない

痛みが出ない程度の力で潰しましょう。
決して無理をしないようにしてください。

ゆっくり潰してゆっくり戻す

反動をつけて勢い良く潰すのは筋肉や関節を痛めるので大変危険です。

呼吸に合わせて

吐くときに力を入れ、吸うときに力を抜きます。

初め弱く、途中強く、終わり弱く

潰す力は初めからいきなりフルパワーで行わず、例えば10回行う場合、1~4回目は一回ごとに潰す力を強め、
5・6回目がピーク、7~10回目は一回ごとに潰す力を弱めるようにします。